健康維持の一つの方法
                                   宇藤山  隆
1.はじめに
 農政局のホームページで図の様な「こま」の絵を見
たことはありませんか。これを開くと、「食事バラン
スガイド」のページになります。健康的な生活ができ
病気に罹りにくい、体に良い理想的な食事のバランス
が示されています。また、私たちが毎日摂っている食
事は、バランスが良いかどうかのチェックも出来ます。
私はこの「こま」を他の事から知ることになりました。
 昨年の人間ドックで精密検査が必要との結果がでました。これまで人間ドックでは特段悪い結果
が出たことはなく、健康にある程度自信を持っていました。自覚症状は無く、表面は元気です。医
者の話は「これから時々検査し、進行を見て対処する」というものです。こういう時、私たちは他
の医者にセカンドオピニオンを求めたり、「家庭の医学」で調べたりします。そこで図書館で、病気
に関連する本を数冊読んでみました、どの本もほぼ医者の言うことと同様の内容でした。
 その時、ふと隣の本に目が止まりました。その本(著者は新潟大学の安保教授、キーワード「免
疫力」)を手に取り、関連する本を数冊読んで行くうちに、私なりに人間ドックの結果を納得し、こ
れまでの生活の積もり積もった生活習慣によるものかと、思うようになりました。そこで、生活習
慣を変え、病気に罹りにくい体にするには、こういう考え方・方法があったのかと共感し、「やって
みよう」と言う事で簡単に出来ることから始めることにしました。ここに少し私の意見を交え、本
が教える方法の概要を述べたいと思います。
2.どうして病気になるの?
 最近または、ここ数年内に、生活パターンの大きな変化はありませんか。退職、転職、家族の病
気、子供の問題、新しい仕事、経済問題に悩んだことは無いですか。病気になる原因はいろいろあ
りますが、新潟大学の安保教授、福田医師は、多くの病気がストレスによる自己免疫力の低下が原
因と指摘されています。ストレスが重なると自律神経が乱れ、免疫力が低下して病気を招くのだと。
私たちが気になるガンもまた同じです。これを「福田―安保理論」と言います。この仕組みを示し
ます。
「ストレスが病気を招く仕組み」
まず、過度のストレス(働きすぎ、悩みすぎ、薬の飲みすぎなど)によって、
1.交感神経が一方的に緊張し、
(1)活性酸素が増加(組織老化が進む )「潰瘍、肝炎など」
(2)血管が収縮し血流障害が起こる(組織に老廃物がたまる)「こり、腰痛、痔など」
2.副交感神経の働きが低下すると、
(1)リンパ球の減少(免疫力の低下、感染症・ガン細胞を監視する力が落ちる)「かぜ」
(2)排泄・分泌能力の低下「胆石」
その結果として、ガン・感染症さまざまな病気に罹りやすく、治りにくい状態になる。
 また、体の病気は、心や性格が関係していると言われています。そのタイプによってA型、B型、
C型が有ります。ここに、C型(ガンになりやすいタイプ)について、チェック項目を示します。
 @自分に対して厳しいほうですか。
 A融通がきかないタイプですか。
 B怒りを抑えて我慢してしまうほうですか。
 C何か困ったことが起こると、すぐに挫折感を抱くほうですか。
 D人と争わず、誰にも合わせて愛想がよいほうですか。
 Eつらい幼少時代を過ごし、親に対して感情的なわだかまりがありますか。
 F人生を悲観的に考えるほうですか。
 G心配性で、受身で、控えめなほうですか。
 H生活を楽しめないほうですか。
 I献身的で世話好きですか。
(採点「はい」は2点、「いいえ」は0点、「どちらともいえない」は1点で、16点以上は注意)
3.体を守っている免疫力
(1)リンパ球
 病気と戦う免疫力の正体は、血液中の白血球です。白血球は毎日体内に侵入する菌、ウイルス、
ガンの芽(毎日1〜3千個発生していると言われている)と戦っているので、人間はすぐには病気
になりません。しかし、免疫力が低下すると発病したり、ガンの芽が増殖を始めます。(この芽は3
4年で発見される大きさになる。)
 健康な人の白血球は、血液中1μl中に5,000から6,000個あり、その構成は顆粒球、リンパ球、
マクロファージから成っています。自律神経がきちんと働いていると、これらの割合は顆粒球は54
60%、リンパ球は3441%、マクロファージは5%程度と言われいます。しかし、顆粒球とリン
パ球の割合は日々変化しています。これは自律神経の働きと大きな関係があります。この白血球の
中でリンパ球が免疫力に係わり、リンパ球数とその個々の強さの積で免疫力が高い、低いと判断さ
れます。リンパ球の数は白血球数*リンパ球の割合で求め、2,000〜2,300個以上は「良」と判断さ
れます。強さは測れないので、毎日の生活の「質」から判断します。
(2)自律神経
 「福田―安保理論」によると、体の働きを統括しているのが自律神経です。自律神経には、交感
神経と副交感神経の二系統があります。交感神経が優位なときは仕事、運動などをするときで、白
血球のうち顆粒球が活性化しています。副交感神経が優位なときは休息、食事などのときで、白血
球のうちリンパ球が活性化しています。健康なときは、それぞれの神経が優位になる時が交互にふ
れてバランスがとれています。しかし、過剰なストレスがかかると、交感神経が一方的に優位にな
り顆粒球が活性化しリンパ球が減少します。そこで、免疫力が低下して病気を招くことになります。
よって、自律神経のバランスを整えることが重要になります。また、自律神経系は体の中では単独
でなく、内分泌系と脳神経系と相互作用しあって、健康な体を維持しています。
4.病気に罹らないために
 テレビでは健康維持、健康増進、よい医者選びなど、健康を題材にした番組が世の奥様方に好評
を得ています。薬局には健康食品の山、電気屋には健康美容コーナーと健康関連商品が良く売れて
いるようです。皆さんも色々な健康法を実践され、お気に入りの健康食品愛用されていることと思
います。先に述べた「福田―安保理論」に基ずいて免疫力を高め、健康を維持する方法として、次
のことが紹介されています。
(1)生活習慣を見直す
多くの病気が、いや、ガンまでもが生活習慣病と言われています。長期間の偏った生活パターンか
ら生まれます。曰く「あなたはもう十分に、肉を(脂肪を、お酒を、タバコを、)摂ったでしょう」
もし、病気になったら生活パターンを変えることが大切です、これを「生き方革命」と名付けられ
ています。
(2)医食同源
 アメリカでは20年前までガンの死亡者数が増加していました。1997年にガン予防のための国際
プロジェクトが「ガン予防14か条」の提言を発表しました。「ガン予防14か条」(重要度が高い順
に並んでいる)は次の通りです。
第1条 植物性食品を中心とした食事。
第2条 肥満を避ける。
第3条 運動の維持 (11時間の速歩など)。
第4条 野菜・果物を1400800g摂る。
第5条 穀類・芋類・豆類を1600800g摂る。
第6条 お酒は適量に。
第7条 牛肉や豚肉の量は180g以下にする。
第8条 脂肪は控える。
第9条 塩分は16g以下に。
第10条 カビ毒に注意。
第11条 食品は腐らないように冷蔵庫に貯蔵。
第12条 食品添加物や残留農薬に注意。
第13条 焦げた部分は食べない。
第14条 栄養補助食品に頼らない。
番外 タバコは吸わない。
 そして、ガン予防の効果が期待できる食品として、
ニンニク、ショウガ、キャベツなどが推奨されていま
す。効果の期待されるものを順位付けしたピラミッド型
の図を「デザイナーフーズピラミッド」と言います。
これらの対策によってアメリカでは、現在ガンの罹患
率も死亡率も減少傾向にあります。これらの考え方に沿
った食事は、健康の維持に重要と思われます。
 ところで、あれが良いこれが良いと言っても、日本
ではどの位の量を食事として摂ったらよいのでしょうか。
先ほどのコマの図から食事バランスをチェックできま
す。
(3)リラックスする
 ストレスを長時間受けていると交感神経優位の状態となり、リンパ球が減少し、免疫力が低下し
ます。そこで、副交感神経を刺激し、リンパ球を活性化させる方法は、まずリラックスし、無理を
しないことです。ストレスを受けているときと(交感神経優位状態)、ストレスを受けていないとき
(副交感神経優位状態)のバランスを整えることが重要です。その方法として次のものがあります。
@ 自律神経免疫療法
 体のツボを刺激して、自律神経のバランスを整え、免疫力を高める治療法です。
A 笑う、大声を出す
 「土地改良」254号のニュース・トピックに「「笑って健康」検証、学者や落語家で学会設立へ」
と言う記事があります。効果が検証されることを期待、いや確信しています。私の場合は、落語家
の三遊亭歌乃介(鹿児島弁による落語)がよく効くようです。
B 呼吸法
 呼吸は無意識に行っていますが、何か事をやろうとすると、息を整えて、身を構えています。武
道では「呼吸・気」が大切な要素を占めています。技・力は息を吐くタイミングに関係します。呼
吸法としては「腹式呼吸法」が一般的ですが、「逆腹式呼吸法」が効果があると言われています。
(4)趣味に没頭する時間を持つ
 前記(3)と同様の効果が期待できます。旅行、釣り、ゴルフ、囲碁などありますが、皆さんす
でに自身の趣味に没頭されておられることでしょう。
(5)運動を規則正しく行う
 「ガン予防14ヶ条」の第3条に示すとおりです。皆様はすでに実践されていることと思います。
(6)体温のチェック
 体温は看護婦さんが測るものと思っていませんか。時々、自分で計り、自分の体温を知りましょ
う。私の掛かりつけ医師の見解では、患者は概して体温が低いそうです。人間の体は36.5から37
度が健康で免疫力も働くように出来ています。体温が36.5度以下は「低体温」です。体温が1度上
昇すると、リンパ球数(の働き)が20%増加すると言われています。その逆もまた、正です。曰く
「体重を測るより、体温を測れ。」
 体温を発生する主な源は、大きな筋肉です。体温を上昇させるには筋肉を強化すること、入浴方
法を工夫することや食べ物にも関係が有ります。
7)内臓、肝臓機能を強化
 腸、肝臓の機能を強化させることが、免疫力を強化すると言われています。リンパ球が多く存在
する所が腸です。腸を若返らせて、腸の働きがよくなると、リンパ球が活性化し、免疫の働きも高
まります。腸が元気かどうかは、毎朝の便の状態(色、固さなど)を見ると判ります。赤ちゃんの
便が理想ですが、酒を飲むとそうはいきません。腸を元気にする方法はテレビの番組でよくやって
います。そのひとつは、食物繊維の多い食べ物を多く摂ることなどです。
(8)病気は気から
 病状を回復させるには、自分の体が持っている自然治癒力が「9」、医療と薬が「1」の割合で必
要と言われています。病気は気からと言います、自分の病気は自分で治すのだと言い聞かせる事が
重要です。