水は命の源

中国四川省・旅行記(1/3)

                                          旅行記1/3
      中国四川省「成都農民研修プロジェクト」に参加して
                             「筑後川水の友」の会員 宇藤山 隆

 

はじめに
中国四川省成都市において、農民が水利施設の管理技術を取得する、また、農民用水戸協会(日本の土地改良区)の設立・運営の技術を学ぶ研修が、2009年11月から2ヶ月実施されました。この研修に協力・支援を行う専門家として参加して来ました。この「成都農民研修プロジェクト」について報告します。
プロジェクトの概要
(1)JICAが支援する「日中草の根技術協力事業(パートナー型)」の一プロジェクト、「中国四川省成都市過疎貧困農村における生計向上農民の定着のための基礎整備プロジェクト」(以下、「成都農民研修プロジェクト」と言う)の計画の下、中国側によって「成都市金堂県農業用水管理基礎技術研修事業」が実施された。
(2)このプロジェクトは、中国が研修実施場所を金堂県に選定し、中国側の施設を使用し、講義も中国の先生で実施する研修事業を、日本の専門家が、研修の実施方法全般から、教科書の作り方、現場実習の方法について、支援・協力するものです。これらに要する費用は日本の負担です。

(3)中国の農村はケ小平の「改革開放政策」以降、沿岸都市部との経済格差が著しくなっている。四川省では一昨年の地震で農業工作物の被害も多く、また、政策の変化によって末端の農業用水路の整備が遅れている。成都市の金堂県プロジェクトは郷・鎮の技術者・農家の代表が先頭になってこれらの整備、維持管理(ソフト面が重要)を自ら進める技術を習得するものである。

 

2.「成都農民研修プロジェクト」の仕組み

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(2)語句の説明
@ 日中青年研修協会は1979年に設立され、今までに中国人青年を企業の研修生として受け入れ、中国の繁栄に寄与してきた。近年は、日中交流緑化基金による植林活動を通じて環境問題にも取り組んでいる。
A 成都海外技術者研修協会は、日本で研修を終えて帰国した人が組織する同窓会。各国、各地区で、同様の組織が活動中である。
C プロジェクトチームメンバーは、日中青年研修協会の委嘱を受けて、海外に赴任する。
D 専門家は、成都市の事務所(成都海外技術者研修協会に同居)と金堂県の就業訓練センターで勤務する。
E 通勤は、成都市の事務所にはタクシー、金堂県の就業訓練センターには車で。

3.草の根パートナー型とは、
 開発途上国への支援について、一定の実績を有しているNGO等の団体が、これまでの活動を通じて、蓄積した経験や技術に基づいて開発途上国への国際協力活動をJICAが支援する事業。

 

4.成都農民研修プロジェクトの概要
(1)中国側の実施した事業名
   「成都市金堂県農業用水管理基礎技術研修事業」

(2)事業内容
@ 期間 2009年11月20日から2010年1月15日
A 場所 成都市金堂県就業訓練センター
B 実施者 金堂県就業訓練センターおよび
金堂県水務局   
(3)研修生等
@ 研修生 74名
A 講師  9名 金堂県水務局職員及び
四川省水利学院教授


(4)支援者
@ JICA
A 成都海外技術者研修協会
B 日中青年研修協会
(5)カリキュラム
農民が水利施設の管理技術を取得する、また、農民用水戸協会(日本の土地改良区)の設立・運営の技術を学ぶ研修であり、それに必要な教科を選定した。次にその主要な科目を示します。

「節水灌漑技術」、「排水技術」、「測量」、「水利施設工事」、「工事費積算」、「工事施工管理」、「地区用水管理」、「土地改良区組織運営」、「農村飲用水保全」、「農業機械修理技術」、「先進地視察」等であり、それぞれ理論講義と現場実習を組み合わせたカリキュラムを作成した。
(6)専門家の講義
専門家は日本のプロジェクトの事例を紹介することとし、パワーポイントを用いて3例のプロジェクトを紹介した。

@ 豊川用水の改修
A 土地改良区の運営(両筑土地改良区)
B 道の駅(農産物の直売の紹介)
(7)終了式
終了式では一人ひとり名前が呼ばれ、金堂県水務局、センター所長、専門家が、握手をして、「辛苦了(御苦労さん)」と声をかけ、「合格証」を手渡した。

 


(8)研修生の生活
研修生は金堂県内から集まっていて、遠方からの人もいることや2ヶ月間の生活の規律を守るため、旅館を借りて合宿生活をした。これは当初予算に計上していなかったため、その後の予算の執行に支障をきたすこととなった。
 昼食は、金堂県就業訓練センターが研修所の調理実習室で、人のいい調理人を雇って、70数名からの料理を作って、給食を実施した。専門家もセンターのスタッフと一緒に、大きなテーブルでワイワイ言いながら頂きました。この給食がどこのレストランより美味しく楽しい食事でした。

中国四川省・旅行記(2/3)

                                            旅行記2/3
              中国四川省成都市の生活(その1)

 

はじめに
中国四川省成都市において、農民が水利施設の管理技術を取得する、また、農民用水戸協会(日本の土地改良区)の設立・運営の技術を学ぶ研修が、2009年11月から2ヶ月実施されました。この研修、「成都農民研修プロジェクト」に協力・支援を行う専門家として参加して来ました。2ヶ月間余の成都市での生活について、感じた所を報告します。

 

1.中国の姿  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


2.成都市
 四川省は2008年に大きな地震が発生した所です。成都市は肥沃な四川盆地の中心地で、中国西南エリアの中心地です。三国時代の蜀の国で、劉備と諸葛亮(孔明)のゆかりの地、パンダの故郷、そして、激辛な四川料理が有名です。
成都市の気候は亜熱帯湿潤季節風気候に属する。緯度は北緯30度で、日本の屋久島と同緯度です。気温は、夏は平均気温27℃、冬は同5℃で、雪はほとんど降らないそうです。降雨は7,8,9月に偏って降ることから、農業にとっては、ときどき干ばつが発生しているようです。標高が500mの四川盆地の底に位置するため、冬の時期には、毎日霧、靄の中、太陽は月に1、2回ほどしか出ません。見通しが500m、ひどい時は200mくらいです。空気が乾燥していて、風はないのに顔に当たる空気が冷たく感じます。
 風土、人種は雲南系で日本人に似ていて、(北京に比べて)背が低く、人ごみでは日本の繁華街かと間違うくらいです。
観光地は、世界遺産が多数あり、観光の中心となっています。主なものに、武候嗣(諸葛孔明)、杜甫草堂、パンダ繁育所、都江堰、青城山、楽山、我媚山、九寨溝、黄龍などがあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


3.生活環境
(1)専門家の中国生活
@ 宿舎は、成都市の中心部にある四星ホテル(5000から6,000円)に泊まりました。専門家の安全確保から中国側が選定したものです。近くに、王府井、太平洋デパート、日系の伊藤ヨーカ堂、伊勢丹デパートが在り、日本食は豊富にありました。朝食はホテルで、バイキングスタイル、昼食は事務所の食堂です。夜は自分で自由に食べますが、一人で食堂で食べる苦労は後述します。
A 病院は、外国人を受け入れる「華西病院」を、成都海外技術者研修協会が斡旋してくれました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(2)お金
@銀行口座・銀聯カード
中国で少し長い期間生活するには、銀行口座が必要です。ホテルの1週間毎の清算、デパートの大きな額の買い物、食事代などの支払いに大金を持って歩くのは危険です。しかし、銀行のカードがあれば、大丈夫です。銀行に口座開設することは簡単です。パスポートを示すだけでOKでした。銀行はキャッシュカードを発行してくれますが、このカードの利用方法は現金の引き出しの他、ホテル、デパート、小売店などの支払いが出来て便利です。このカードは「銀聯カード」といって、近年福岡のデパートで使用が可能となりました。(中国からの観光客はこのカードを持って、日本で買い物をするためです。)
A元
中国のお金は世界的に注目されている「元」です。世界の為替事情を変動させる位の力を付けています。今のところ、中国政府がコントロールしているので、為替の大きな変動はありません。成都の生活では、2ヶ月間で50、60万円位のお金を必要としました。為替レートは重要なことで、中国国内が、日本国内より、良いようです。国内のレートは15円・/元(1万円が667元)ですが、中国の銀行では13.5円/元(1万円で740元)でした。国内(空港などで)では少額を両替し、中国に行ってから、銀行、ホテルで両替するのが得策です。北京、上海などに旅行の際は中国の空港で両替されては如何ですか。
Bお金の種類
中国のお金の種類は、100元、50元、20元、10元、5元、2元、1元、とその10分の1の角で、5角、2角、1角があります。
中国の人は自国の通貨を信用しないのか、(信用しきっている日本が世界標準から外れているのか)100元札を出すと必ず相手の顔を見て、お札を透かして見ます。日本人からすると、失礼なと思いたくなります。返って来るお釣りのお金は本当に汚いです。世の中で最も汚いものはお札だと言われていますが、その通りと納得する汚さです。特に少額紙幣は汚いし、色が変わっていて、お釣りはいらないと、言いたくなる位です。そして、お釣りはデパート、銀行どこでも、くしゃくしゃな紙幣を投げて返します。

(3)言葉・漢字
中国語は大陸、高原言語、日本語は4畳半和室言語と、私はその違いを思っています。中国語は「頭の天辺から、甲高い声を、遠くの人に話す」ように、日本語は「せまい部屋でやさしく話す」言葉かと思います。とにかく、人が集まったら、食堂、飛行機の中どこでも、甲高い言葉が飛び交って、中国人がいると分かるほどです。
今の中国の漢字は「簡体字」で、1956年に文字改革が行われて、多くの漢字を簡略化しました。例えば、「農村→?村」、「技術→技?」、「龍→?」などです。台湾ではそれ以前の「漢字」を使っています。例えば、「医→醫」などが古い本で見受けます。日本は「簡体字」以前の「漢字」、日本独自で作られた漢字(峠、辻など)と簡略化した漢字から構成されています。中国では街角を歩いても、看板の字は何とか意味が分かります。

この際、中国語を覚えようと、通訳に相談したら、ここ成都では方言がひどく、北京普通語を習っている人は、覚えない方が良いということで、勉強になりませんでした。

 

4.街角
(1)交通事情
中国は経済成長が大きく、道路はよく整備されていて、裕福な人が多くなり車を買える層が増え、街は車の洪水です。

乗り物の種類が多く、その数も多いです。歩く人間も多いですけど。まず、バスが目につきます。成都の都市部ではバス路線発達していて、バス停には4,5台が繋がって客の乗降しているところをよく見ます。地下鉄がまだ完成していないので、近郊からの通勤はバス、バイク、自転車に頼っています。言葉が話せないので、バスはまだ利用していません。
 自動車(乗用車)の数が多くて、自動車の種類、メーカーを色々見るのも面白いです。

中国製、日本製、日本との合弁企業製、ヨーロッパ、特にドイツの輸入車、韓国製など、車の形で日本のどのメーカーとの合弁会社製か、また、日本と同じマークを付けているのも見かけます。
 自動車の運転方法が、日本人から見ると驚きです。警笛の多用、道路を歩いていると、うるさいこと。事故防止とは言えばそれまでですが、交通ルールはあるはずです。幹線道路は片側2,3車線に側道、歩道のある立派なものです。

交差点では四隅に警官、交通指導員が多数出て、笛を吹いて、旗を振っているんですが、自転車(電動)、歩行者は無視するのが多いようです。その1例。
@ 車線変更はしょっちゅう、前方は渋滞なのに、先を急いでどうするの。タクシーは安いので利用しやすいですが、目を開けては乗っていられません。

A 左折車は直進車に優先?(日本では、右折車のこと)交差点が広いので、左折車は一目散に斜めに、2,3列で左折、そうすると、

直進者は前を塞がれて往生、渋滞するはずです。
B 大きな交差点では、右折は常時可。横断歩道と言っても、車はすぐには止まらない、危ない!
C バイクも自転車と同様歩道よりの車線を一応走っているが、交差点になると、斜めに、また、逆行はしょっちゅう、運転手の度胸と命懸けに感服です。特にバイクは免許が要らなくて、交通ルールの試験を受けていないので要注意です。
事故も結構見ます。多くは斜めからの接触事故、車線変更の失敗、「我れが中心」の考えで、頻繁に行うためか。トラックの車体の下に突っ込み自力では離れず、渋滞の原因になっています。

(2)車の種類
自動車、バス以外で二輪車、三輪車の種類が多いのも特記ものです。
@ 二輪車
自転車、電動モーター付き自転車(ペダルがまだある)、モーター付き二輪車(ペダルなしで、自転車より少し大きい)、電動モーターバイク(バイクの格好をする)、エンジン駆動バイクと色々な種類があり、メーカー、大きさの種類の多さはすごいです。また、9割が電動モーター駆動です。
充電は家庭のコンセントから簡便に行っています。


A 三輪車
まず、貨物用として、人力三輪車(自転車の後部がリアカー)、電動モーター自転車にリアカー付き三輪車、モーターバイクに専用荷台付き三輪車、エンジンバイクに専用荷台付き三輪車、ミゼットタイプ三輪車(エンジン式の2種類は、産業用の力として活躍している、荷物はなんでも積んで、便利)。
乗用としては、人力三輪車(ただ座るだけのイス付き、個人用か?)、人力三輪車(少し大きくて、椅子の部分に幌付き、個人用とタクシ―用とある)、電動モーター三輪車(全体を包んだ幌付き、個人用とタクシー用とある)、ミゼットタイプ三輪車、この種類では上級ものです。

(3)路上では
運搬車の荷物は積めるだけ積むという方法、トラックは大型が多く、日本の2倍くらいはある。軽い荷物は荷台からはみ出している。(上、左右、後ろと)。荷崩れで積み直しの光景も時々見ます。
感心したのは道路の掃除をしている人が多数いる事、街中の道路から郊外の幹線、高速道路まで、黄色い安全衣を付けて作業をしています。1〜2kmに一人は配置している感じです。作業は近郊では埃をはいていますが、街中ではゴミ拾い・片付けが多いようです。誰がお金を出しているのか分かりませんが、日本でも失業対策に良いのでは?
一方で、道路は汚いです。痰唾は所構わず、食べ物カス、包装紙も道路にすてるため、道路は下を見て歩かなくてはなりません。道路にゴミ箱は所どころに有りますが、ゴミを投げてもゴミ箱に届きません。公徳心、道徳心はと疑いたくなります。

6.インフラ整備
(1)中国のインフラ投資はすごい勢いです。北京オリンピックまで、上海万博までと言われて来ましたが、ここ成都では今が盛りとインフラ整備がオンパレードです。地下鉄、鉄道、道路、マンション、・・・。国内道路網の整備が鉄道に先行していて、成都でも中心部の幹線道路は整備済み、中心部から外側への主要放射状道路、高速道路は環状道路が3重、4重(東京の比ではない)と整備され、主要都市間の高速道路が繋がりつつあります。道路がよくなり、経済発展に伴って自動車を所有できる人が増えていく、道路の渋滞は必然でしょう。まだまだ、国内の自動車産業が発達すれば、どうなることやら?


(2)成都市では地下鉄がまだ建設中です。1,2年後に完成予定です。完成が待たれるくらい渋滞がひどくて。
(3)マンション建設ブームは、日本の比ではないようです。一か所の開発面積も広いし、建物もみな高層です。地震が少ないので構造的に柱は細いですが、外構、植栽、建物の外壁などはデザインを凝らしています。販売方法も日本と同様で、建設中の建物の横で販売センターがあり、周りは幟、看板を建てているところは似ています。

マンションの販売は投資目的もあり好調とか、値段は80−100m2で600-1,000万円とか。都市開発も旺盛で、古い建物が新しく建て替わっていて、古い建物の境界ぎりぎりで工事をしています。開発地と思われる所に、火災の跡があったり!!
マンションの構造は、柱は細く、壁はレンガ積み、出来上がったら立派ですよ。ビルの建築に使用するクレーンが皆同じで、T型の黄色いクレーンが働いています。民家の作りも同様で、壁をレンガで積み上げ、木材で小屋を組、屋根はスレート、トタンなど、軽い材料で葺いているようです。
(4)通信インフラ整備は、電話線を広大な国土に敷設出来ないので、無線・衛星通信を使う携帯電話の方が容易のようです。市民の携帯電話の所有は日本と同じで、どこでも甲高い話声で五月蠅い位です。中古電話市場が活気を呈しています。日本と違い電話会社間の差がないためか?道端には中古電話売りが、シートいっぱいに電話機を広げています。 

中国四川省・旅行記(3/3)

                                           旅行記3/3
               中国四川省成都市の生活(その2)

 

はじめに
中国四川省成都市において、農民が水利施設の管理技術を取得する、また、農民用水戸協会(日本の土地改良区)の設立・運営の技術を学ぶ研修が、2009年11月から2ヶ月実施されました。この研修、「成都農民研修プロジェクト」に協力・支援を行う専門家として参加して来ました。2ヶ月間余の成都市での生活について、感じた所を報告します。

1. 料理・食事
(1) 在食成都
有名な四川料理の本場です。「四川料理」と言うと「辛い」と言うイメージが強いと思いますが、本当に「辛い」物は「辛い」です。唐辛子、油、香草(色々種類がある)の中に、肉、魚、野菜の材料が入っていて、唐辛子を避けて、欲しい食材を探して食べます。間違って唐辛子を食べたなら、飛び上がります。と言っても、全部がこう言う具合ではありません。

これは四川の人が好きな「火鍋料理」類の一つです。(「火鍋料理」は日本のしゃぶしゃぶ、大きな鍋に唐辛子、油、香草のたれ・・もう1種類は甘いたれもある・・が入っていて、肉、魚、野菜の材料を入れて、後は日本と同じです。)四川料理は種類が多く、全体的にはやさしい味の料理が多いと思います。有名な麻婆豆腐も、日本の物に唐辛子と油と香草を足したようなもので、店によって、その配合が色々で、味が違ってきます。
(2)豊富な食材
まず、食材の豊富さでしょう。野菜も見慣れないものが多くあり、肉も多種です、部位ごとに使うから料理の種類も多くなります。四川は大河揚子江の支流にありますから、魚はほとんど川魚です。これら多くの材料と調理方法の多さとの組み合わせで、料理メニューは無限か?
特に粉物は種類が多く、包子、餃子、団子、饅頭、ワンタン、麺類など、また、店ごとに形・大きさが異なり、食べて楽しいものです。餃子は蒸すのが普通で、日本の焼くのは特注になります。たれは油、唐辛子、香草のセットですが、たれ無でも充分食べられます。

(3)レストラン
レストランで食事する場合の例です。
@飲み物を注文する。高級な店、宴会・個室では、皆さん酒を飲んでいますが、一般的な店では酒を飲む人は少ないようです。飲み物は白酒(日本の焼酎)、紹興酒、ビール、ワイン、ソフトドリンク(ジュース、豆乳が流行っている)などです。グラスが3個並んでいて、小さな白酒の乾杯用、ビール・ソフトドリンク用、ワイン用です。主人が自慢の白酒を持ってきて、まず全員で乾杯です。次のコップには自分の好きなビールなどを注文します。暫くすると、主人が立ち上がり白酒を持って各人に勧めに来て、お客は小さな白酒の乾杯用の杯を持ち、飲んだ後、飲み干した事を見せるため杯を傾け、「謝謝」とお礼を言って着席します。ビールなどのコップは、残り少なくなったら、店員が注いでくれます。
A料理の注文は、宴席では主人が用意いているから、客人は次から次と出てくる料理を、「これは何だろう」と話しながら、皿にとって頂きます。高級な店では、店員が取り分けてくれます。円卓にどんどん運んできて、置き場がなくなり、皿を2段に乗せていきます。
一般的なレストランに数人で行った時は、料理の数は人数+1、2皿を目安に注文します。構成は前菜、魚、肉、野菜料理を2,3点、点心およびスープなどを考慮して組み合わせます。各人は料理を取り皿に取って食べますが、これが昼食などの場合は、ご飯の上に乗せて食べます。

Bご飯ものは、宴席では点心が数種類、小さな皿に餃子、包子、饅頭などが各人に出てきます。
一般的なレストランに数人で行った時は、通常、料理を注文すると、お櫃にご飯が山盛り出てきます。各人は茶碗に盛って、ご飯の上に一箸料理をとって食べます。ここで、このスタイルが苦手な日本人は付いていけません。特に、中国人には(自己中心的な人が多いのか?)皿の中をかき混ぜて、好きな材料を探す人がいて、「これこれ!」と思う時があります。
ご飯が終わると、湯(スープ)が出てきて、終了となります。
C料理は写真で見ても、香り、味を伝えられないのが残念で、現地の中華料理が好きな人にはたまりません。

(4)食器
食器も色々です。宴席では陶器の器に漆の箸です。

一般的なレストランでは、白い陶器の盛り皿と取り皿、社員・職員食堂ではステンレスかアルマイトのお椀、小さな事務所の食堂では、マイ箸、マイお椀を持っている人もいます。
大きなレストランや観光地の店では、レンタルと思われる食器セットが出てきます。

お椀、皿、コップ、スプーン・箸が洗浄して1セットがラッピングされた状態でテーブルにならびます。各人がラップを破り並べます。成都近郊の観光地を含めて広範囲に、この食器リース業は活動、営業しているようです。
(5)会計
会計が前払いと清算払いがあり、日本と同じで店の質によって決まります。但し、食券の自動販売機は見かけません、機械を設置するより、店員を雇う方が安いようです。店内では店員の数がお客より多い所があります。
(6)店の入り口
店はどこでも入り口のドアがありません。暖かい所のせいか、ある程度高級な店でもありません。冬は寒いので入り口に、柔らかいプラスチック製の分厚く細長い透明な板が、のれんのように下がっています。これをかき分けて入る様子は、焼き鳥や風です。

(7)身近な店
日本のラーメン屋、焼き鳥やと同じような、身近な店が結構繁盛しています。道路側に焼き鳥の焼き場、餃子の蒸し器が置いてあって、テイクアウトが出来て、店内でも他の料理と合わせて食べる方式です。その店のメインの料理があり、包子、餃子、饅頭、ワンタン、鳥の丸焼き(一羽まるまる、半分、切り身でと売ってくれる)で店の種類がきまります。但し、料理の種類はこれだけでは無く、

これを主なメニューとして他にも色々あり、前菜、魚、肉、野菜料理、他の点心など20、50種くらいあります。よって、まずビールを(青島ビールが生を出して旨くなったようです、)、包子、餃子を次に、その他に肉、野菜料理、スープを注文するのが私たちのパターンです。
(8)一人で行く店
一人で食事する場合は、一般的なレストランでは一品でも盛りの量が多いので、2、3品注文し、ご飯が来たら食べきれないことになります。周囲は4,5人のグループが多い中、一人ぽつんとは寂しいものがあります。もともと中国料理の卓は日本でも円卓であるように、数人でワイワイ言いながら食べるもののようです(本当に、五月蠅いです)。したがって、一人の時は屋台的な、身近な店に行くことになります。

包子、餃子、饅頭、ワンタン、麺、焼き鳥などは注文できますが、込み入った料理は注文しても、思っていたものと違うものが来るのが常です。スープは大きなドンブリできて、一人では飲みきれません。焼き串はたれが濃くて何の肉かわからないので聞くと、豚が多いとのことです。
(9)屋台
 また、屋台が活躍していて、きれいな固定式屋台、リヤカー部隊などがあります。

道路上にきれいな固定式の屋台があるのが特徴で、公的に認められているのか、色々な店の種類があります。また、リヤカーの上で商売している屋台は、おまわりさんが来ると、どこかへ移動していき、忙しいようです。
繁華街のデパートが多く集まっている所は、道路幅が広い歩行者専用道路で、きれいな固定式の屋台が多数並んでいます。3帖位の立派な作りで、焼き肉(以下、なんでも歩きながら食べるように、長い串にさしてある)ソーセージ、餅、焼き菓子、あめ、果物、それからおでん。一番面白かったのは、この匂いはと近づいてみると、なんと、サンマの焼き魚(日本物と表示してある)、納得でした。

一方、リヤカー部隊も負けてはいません。焼き餅(お好み焼き風)は、私の通訳嬢が朝食に時々、豆乳(暖かい、甘い)と一緒に買っています。リヤカーでは果物を多く売っています。雲南省が近いので熱帯産の果物が多いのが特徴です。デパート地下の果物売り場も含めて、ドリアン、ランプータン、ライチ、みかん類(ザボンが有名)の熱帯産の他、リンゴ(富士もある)も山盛りに並び、スイカ、メロンなどは串刺しで、トウモロコシにも人気があるようです。

(10)昼食
昼食は事務所と現場の研修所で食べています。それぞれ食堂があって、安い値段で食事出来ます。事務所は日本の県庁や合同庁舎の食堂と同じで、多数あるお椀盛りのおかずを2、3選び、ご飯とスープを御膳に乗せ清算して(安いです)、丸いテーブルで食事になります。隣の事務所の若者と数人のグループでワイワイ言いながらたべます(私には何を話しているのか分かりませんが、時々、通訳嬢が「・・・」の話をしているの、と)。

現場の研修所は職業訓練学校で色々な訓練を行っているので、使っていない調理実習室を使って、人のいい老夫婦を調理に雇って、70数名の研修生とスタッフと私の食事を作っています。大きな円卓を10名くらいで囲み、座れない人は立ったままで、ドンブリご飯を盛って、食べます。テーブルにはいつも5、6種の料理が2皿ずつ並び、中央に大根、ニンジン、ジャガイモの煮物が大皿でならびます。家族的な雰囲気で食べる昼食は最高でした。また、この調理人が作った自家製のソーセージが若いスタッフには人気です。
(11)材料から注文する店
郊外の店などでは、食材を店頭に並べて、お客が好きな食材を選んで、それを料理して出す店があります。色とりどりの野菜、生簀の魚、生きた鶏、ウサギが籠の中にと種類が豊富です。木立のなかに並べたテーブルで食べますが、冬はちょっと寒いです。
(12)お茶
中国ではお茶は欠かせません。空はかすんでいても、空気は乾燥しています。お客には、すぐにお茶が出てきます。湯のみ茶碗か紙コップに茶葉を入れて、大きなやかん、ポット、給湯器からお湯を注いでだします。2、3口飲んで、少しお茶が減ると、すぐにお湯を注ぎ足してくれます。茶葉は緑茶が主で、日本と違うところは茶葉の一本一本が太いことです。そのうち湯のみの底に沈んでいきます。それから、茉莉花茶(ジャスミン茶)です。ホテルのサービス茶にはこの2種類の茶があります。
事務所では、お客は紙コップで飲みますが、自分たちは自分専用の湯のみで飲みます。専用湯のみに色々と種類があって、代表はネスカフェのビンで、自分の机、会議の机に置いてお茶を飲みます。高級品は断熱ポット(魔法瓶タイプ)で、ステンレス製で直径10cm、高さ25cmくらいで大中小と少しずつ大きさが違います、メーカーによって値段が2,3倍違います。日本の象印、タイガーは高級品の部類、中国製は半分以下の値段で買えます。私も中国製を買いました、保温性は充分です。日本に帰っても家でお茶を入れて持ち歩くのに重宝しています。
お茶の種類が多いのも特徴です。緑茶、茉莉花茶(ジャスミン茶)、烏龍茶、鉄観音茶、菊花茶、その他よく分りません。興味のある方はその道にのめり込んで下さい。